▶️非常用発電機とは
非常用発電機とは落雷や災害による停電により電力の供給が途絶えても電力を確保できる装置の事で、病院や学校、大規模な商業施設やマンションなどの特定の施設では、消防法により設置が義務付けられています。これは停電や災害による二次被害を未然に防ぐ為に設けられたルールで、例えば病院などの医療施設においては手術時のトラブルを回避や人工心肺装置などの重要な機材が停止しないように非常用発電機が常設されているのは有名な話です。
しかし、こうした設備は特定の施設だけが必要とされている訳ではありません。天候不順や災害の影響により電力供給がストップすると、中小の住宅・商業・工業施設にも深刻な影響がもたらされます。近年に発生した二次被害の事例を挙げると、停電による排煙設備の停止により火災によって発生した煙が外部へ排気されずに建物内に充満し、利用客が一酸化炭素中毒で倒れるといった被害が発生しています。
また、スプリンクラーの機能が停止し建物の延焼が早まり、作業員の退避時間に影響が及んだ、エレベーター利用者がエレベーター内に長時間閉じ込められた、非常口への誘導灯が消えてしまい何処へ避難したらよいか分からず避難が遅れたといった被害もあります。
▶️近代文明の脆弱性と電力の必要性を露呈した東日本大震災
つまり、現代社会において様々な施設を利用している人達の安全を確保するには、電力は欠かせないものとなっています。最近発生した東日本大震災では、停電による電力不足により救助活動、非難活動、復旧活動に遅延が発生しました。皮肉な事に、この大規模な災害が近代文明の脆弱性と電力の必要性を露呈してくれたと言えます。
こうした問題は日常生活における安全性のみならず、経済活動にも悪影響をもたらします。今の世の中はコンピューターやインターネット無くしては産業が成り立ちません。情報伝達、データ管理、システム制御など、電力がストップしてしまうと復旧までの間は何も出来なくなってしまいます。こうしたトラブルは利用者や顧客にも直接的な被害が出るので、会社のイメージや実損失も多大なものになる可能性があります。
住宅・商業・工業施設など、どのような分野・業種においても電力の供給が止まってしまう事は、生産性・安全性・経済面から考えても深刻な問題と言えるでしょう。非常用発電機の設置コストや維持費は決して安いと言えるものでは無いかもしれません。しかし、そうした突発的なトラブルを未然に回避する為に非常用発電機を事前に設置しておくのは、理にかなっていると言えるのではないでしょうか。
最終更新日 2025年7月8日